女系天皇容認派との遣り取り③の1

遣り取り③は准教授の回答に対する私の再質問が長くなるので、二度に分けて掲載する。今回の准教授の回答以外にも、世の女系派とされる人の主張を最後の部分に加える。

 先生は、皇位の安定的継承には女系もやむなしの立場のようですが、男系が断絶すれば天皇天皇でなくなり、日本の歴史そのものが否定されてしまうのではないですか。

 
准教授

 近年の日本古代史研究では、古代社会が男系・女系に関係なく、双系社会であったことが明らかになっています。

 弥生時代以来の日本はそうした社会であったのが、古代中国を由来する男系社会を古代末期から中世にかけて選択していったというものです。その意味では、男系を守るということは日本の伝統ではなくむしろ中国の伝統を守ることになります。

 女性の元明天皇から女性の元正天皇への譲位が行われたことからも、古代社会は男系に固執していなかったことがわかります。

 また、男系が選択された中世以降も女系が排除されていなかったことは、私が専攻している近代の皇室典範制定に関する議論でもわかります。

 このとき、政府のなかで数多くの議論が交わされましたが、そのなかにはいくつも女性天皇(そしてそれを選択する以上は最終的には女系天皇になることも想定される)を認める案が提出されています。

 同時代人にとっては、男系でなければならないという意識はなかった証拠で、その時になって初めて天皇は男系男子に限定することが決められたということになります。その意味では、男系にしない=日本の歴史そのものを否定することにはならないと考えます。

 

 この回答以外にも女系派の主張はある。女性天皇は「つなぎ」という男系派の主張が気に食わないようで、推古天皇斉明天皇皇極天皇重祚)は偉大な功績を残したから、「つなぎ」にはあたらないと主張している。

 さらに、日本の古代王朝が大陸王朝の男尊女卑を見習ったことで、男系が定着したという。男系を主張するのは大陸王朝の伝統を守るということだというのが女系派の言い分のようだ。

 これらについての再質問、私の主張については次回に掲載する。